警備業の教育指導日誌とは?
2025.07.03 Thu
警備業法で定められている書類は多数ありますが、教育指導日誌もその中のひとつです。
非常に重要な書類であり、作成することがほぼ必須となっています。
教育指導日誌は、主に警備員指導計画書と警備員教育実施簿があります。
前者は警備業法での備え付けが義務付けられていますが、後者は義務化されていません。
しかし、重要性は非常に高いため、作成しておいた方が良いと言えます。
本記事では、教育指導日誌に記載すべき内容や重要性などを詳しく解説します。
教育指導日誌とは
教育指導日誌は、警備業法における書類のひとつです。
警備員指導計画書や教育実施簿などがありますが、いずれも重要な書類とされています。
警備員指導教育責任者が作成する
教育指導日誌は、主に警備員指導教育責任者が作成する必要があります。
警備員指導教育責任者は、警備員を指導・教育する役割を持つ人物のことです。
公安委員会が交付している警備員指導教育責任者資格者証が必要で、有資格者には警備業に関する高度な知識が求められます。
警備業法では、営業所ごとに警備員指導教育責任者を選任し、指導や教育にあたらせることが義務付けられています。
教育実施簿の作成には専門知識が求められるため、主に警備員指導教育者が作成を行います。
仮に無資格者で警備員指導教育者と同等の知識・経験を有する場合でも、公安委員会の許可を得なければ作成はできません。
そのため、通常は警備員指導教育者の有資格者が対応します。
警備業法における重要な書類のひとつ
教育指導日誌は、警備業法で定められている書類の中でも特に重要なもののひとつです。
警備員の教育に大きく影響しますので、警備員の業務のクオリティにも深く関わってきます。
警備業法では、警備員の指導教育について細かな規定が設けられています。
たとえば警備業務が未経験の場合、一定時間は新任教育を受けさせなくてはいけません。
もし教育しなかった場合は教育懈怠(けたい)とみなされ、警備業法違反となってしまう恐れがあります。
新任教育などの指導教育は、主に教育指導日誌で定めた計画通りに行うのが一般的です。
そのため、教育指導日誌がなければ計画通りに教育が進められず、警備業務開始に必要な教育時間が不足する恐れがあります。
警備員指導計画書と警備員教育実施簿などがある
教育実施簿は、大きく警備員指導計画書と警備員教育実施簿に分けられます。
それぞれ役割が異なる他、警備業法における位置付けが変わります。
警備員指導計画書は、警備員の教育に関する計画を記した書類です。
教育の実施時期や場所、対象者など様々な内容を記載する必要があります。
教育指導計画書は、警備業法で備え付けが義務化されている書類のひとつです。
年度開始の1ヶ月前までには備え付けが必要で、年度が終了した後は2年間の保管も義務付けられています。
もうひとつの警備員教育実施簿は、教育内容について記載した書類のことを言います。
教育を行った責任者や対象者の名前、教育時間などについて細かく記載する必要があります。
警備員教育実施簿の作成・保管は警備業法で義務化されていません。
万が一警備員指導教育責任者が作成を怠ったとしても、同法の罰則は対象外となります。
しかし、教育の実施を証明する書類となるため、警備員教育指導計画書と同等の重要性があります。
もしもの時に備え、警備員指導計画書と教育実施簿はセットでの保管が望ましいと言えるでしょう。
教育指導日誌のメリット
教育指導日誌を作成するメリットは主に3つあります。
- 警備員を教育したことを証明できる
- 警備員の適切な教育指導が可能になる
- 新任・現任教育の実施状況を把握できる
教育指導日誌は、警備員を教育したことを証明する書類になります。
もし関係機関から確認を求められた場合でも、記載した日誌を提出すれば問題ありません。
警備員の教育計画を立ててから教育を開始できるため、適切な研修や指導を実現することが可能です。
教育時間も記録することで、各種教育状況も簡単に確認できるようになります。
教育指導日誌を付けないとどうなる?
もし教育指導日誌を付けなかった場合は、警備員の研修状況を把握できなくなってしまうリスクがあります。
必要な研修が分からなくなったり、研修時間が不足したりする恐れも否定はできません。
場合によっては教育懈怠とみなされ、警備業法に基づく改善指示などが出される可能性もあります。
また適切な教育指導が行えなくなります。
警備員が業務遂行に必要な知識・スキルを身に付けられず、業務に影響する可能性もゼロではありません。
さらには、警備員の教育実施状況を証明できなくなるリスクが潜んでいます。
警備員指導計画書は作成が必要不可欠な書類です。
もし作成を怠った場合は、警備業法違反とみなされてしまう恐れがあります。
警備員指導計画書とは
教育指導日誌のうち、作成が必須の書類が警備員指導計画書です。
非常に重要な書類であり、不祥事やトラブル発生時には関係機関から提出を求められる可能性もあります。
警備員の指導・教育計画を記した書類
警備員指導計画書は、文字通り警備員の教育計画・内容について記した書類を言います。
対象となる警備員ごとに作成が必要で、通常は警備員指導教育責任者が計画を策定します。
警備員指導計画書は1ヶ月単位で毎月作成するケースが多くみられます。
そのため、警備員は1ヶ月ごとに新たな計画に基づいた指導教育を受けることになります。
ただし、警備員指導計画書の回数にこだわらず、適切な教育を受けることが何よりも重要です。
警備業法第66条で備え付けるよう定められている
警備員指導計画書は、警備業法の第66条で備え付けが義務化されている書類でもあります。
立ち入り検査の際にチェックされる場合もあるため、忘れずに作成することが大切です。
もし備え付けを忘れたりすぐ廃棄したりすると、同法違反となる恐れがあります。
警備員指導計画書の保管期限は、対象の警備員に教育指導を行った日から2年間です。
最低でも2年間は保管が必須のため、適切に管理しなくてはいけません。
警備員指導計画書に記載すべき内容
警備員指導計画書に盛り込むべき主な内容は次の通りです。
- 指導を実施する予定時期(予定日や曜日など)
- 対象となる警備員の氏名
- 対象となる警備員の担当業務と配属先
- 指導方法(講義の種類や訓練方法など)
- 指導予定内容
- 指導を実施する予定の場所
警備員指導計画書には、指導実施予定時期や対象者の氏名・配属先などを記載する必要があります。
指導方法や指導予定内容についても記載が必要です。
教育計画に変更が生じた場合、変更した内容も記載する必要があります。
そのため、フォーマットには追記事項を記載できる欄も盛り込んだ方が良いと言えます。
警備員教育実施簿とは
警備員教育実施簿は、警備員の指導教育状況についてまとめた書類のことです。
備え付けが必須の書類ではありませんが、警備員指導計画書とセットで保管することが望ましいとされています。
警備員教育実施簿の役割
警備員教育実施簿の主な役割は、教育状況を証明することにあります。
警備業法では、警備員に対して所定の時間教育することを義務付けています。
万が一教育時間が同法の基準に満たない場合は、行政処分の対象となる恐れがあります。
警備会社は、年に1回程度のペースで立ち入り検査が行われます。
その際に警備員の指導・教育状況を証明する書類が警備員教育実施簿です。
警備員教育指導計画書と一緒に備え付けておけば、教育状況について聞かれた際にも適切に対処することができます。
警備員教育実施簿の備え付けは警備業法で義務化されていません。
しかし、警備員教育指導計画書と同等に重要な書類のため、合わせて備え付けてあるのが一般的です。
警備員教育実施簿に記載すべき内容
警備員教育実施簿のフォーマットに規定はありませんが、主に以下の内容が記載されています。
- 指導を実施した月日および時間帯
- 指導を実施した担当者の氏名
- 指導対象の警備員の氏名
- 指導を実施した場所(施設名や住所など)
- 具体的な指導内容
実際に指導を実施した月日はもちろん、時間帯も記載するケースが多々みられます。
また指導担当者や対象の警備員の氏名、指導実施場所などの情報も記載が必要です。
この他、具体的な指導内容についても記載することが望ましいと言えます。
まとめ
教育指導日誌は、警備員の指導教育に関わる重要な書類です。
警備員指導計画書は警備業法に則った備え付けが義務化されているため、必ず作成しなくてはいけません。
対する警備員教育実施簿は任意であるものの、備え付けがほぼ必須の書類となっています。
いずれにせよ、適切な環境で管理・保管することが求められます。