警備員と警察官の違いとは?
2025.06.06 Fri
警備員と警察官は、人々の安全を確保するという点で共通しています。
しかし、警備員と警察官は立場が異なる他、業務内容や強制力なども違います。
本記事では警備員と警察官の違いや、それぞれの役割などについて解説します。
警備員と警察官の違い
警備員と警察官の違いには以下のようなものがあります。
- 立場(雇用主など)
- 役割・業務内容
- 業務時の制服
- 適用される法律
- 強制力の有無
これらについて詳しく解説する他、警備員と警察官の見分け方もご紹介します。
警備員は「会社員」警察官は「公務員」
警備員と警察官で特に大きく異なる点が立場です。
警備員は民間企業の会社員で、警察官は公務員(地方公務員および国家公務員)となります。
警備員は警備会社によって雇われる民間人であり、求人誌や求人サイトなどで募集が行われています。
特別な資格も不要で、欠格事由に該当しなければ誰でも警備員として働くことが可能です。
一方警察官は公務員であり、募集は各都道府県の警察や警察庁などが行っています。
警察官として働くには公務員試験への合格や、警察学校の卒業などが必要です。
警備員は雑踏警備や身辺警護などにあたるため、警察官と似ている側面もあります。
しかし、あくまでも警備会社に勤務する会社員であり、会社の利益への貢献が主な役割となります。
対する警察官は公務員ですので、警備員とは役割が大きく変わります。
警察官は犯罪抑止に努め、民間人の安全・安心を確保することを目的としています。
そのため警備員より権限も大きく、治安維持を責務として日々仕事を行っています。
業務内容が大きく変わる
警備員と警察官では業務内容も変わります。
警備員は1~4号まで4つの警備業務があり、以下のような業務に携わります。
- 1号警備業務:施設の警備や巡回、不審者・不審物の発見など
- 2号警備業務:交通誘導・雑踏警備
- 3号警備業務:貴重品輸送の警備
- 4号警備業務:対象者の身辺警護
施設警備・巡回からボディガードまで、対応する業務は多岐にわたります。
警察官は職種がかなり多く、それぞれ対応する業務が異なっています。
役職や立場によるものの、主に以下の業務に携わります。
- 地域のパトロール
- 遺失物の対応
- 交通安全教室の開催
- 交通違反の取り締まり
- 事故現場の検証
- 防犯指導
- 犯罪捜査
- 要人警護
- 災害時の救助活動
交通課勤務の警察官の場合、地域のパトロールや交通違反の取り締まりなどを担います。
事故現場を検証したり、交通安全教室を行ったりする場合もあります。
刑事課に勤務する警察官は犯罪捜査を、警備課の警察官は要人警護や救助活動なども担当します。
このように、警備員とは基本的な業務内容に大きな違いが見られます。
制服にも違いが見られる
制服も大きく異なるポイントです。
警察官の制服は全国共通で、都道府県が違っても基本的な制服が変わることはありません(私服警察官などは除く)。
そのため、制服を知っていれば一目で警察官と判断することが可能です。
対する警備員は、警備会社によって制服が大きく異なります。
しかし、警備員の服装は法令で規定があり、明確に警備会社であると区別できるようにする必要があります。
また上腕と腕の部分にはワッペン(標章)の着用が義務付けられています。
適用される法律が異なる
警備員と警察官は適用される法律にも違いがあります。
警備員は警備会社に勤める民間人ですが、警備業法という法律が適用されます。
同法は警備員と警備会社を対象にしており、警備業の信頼性確保を目的として制定されています。
主に従事できる警備業務や、教育(研修)時間・欠格事由などが細かく規定されています。
違反すると罰則が課せられる可能性があるため、警備員として働くなら遵守が求められます。
一方の警察官は、警察法と警察官職務執行法という2つの法律が適用されます。
中でも特徴的なのは警察官職務執行法で、警察官に対する権限が細かく決められています。
この法律により、警備員と警察官では遂行できる業務が大きく異なっています。
強制力にも違いがある
業務内容や立場と合わせ、大きく異なっているのが強制力です。
警備員と警察官の違いの中でも、特に際立った違いが見られます。
警察官は警察官職務執行法が適用されるため、警備員よりも強い権限を有しています。
もし公務で必要とみなされる場合、以下のような権限を行使することが可能です。
- 逮捕
- 事情聴取・職務質問
- 出頭要請や取り調べ要請
- 家宅捜索
- 物品の押収
- 私有地・建物への立ち入り
- 緊急車両の優先通行権
- 通行制限や交通整理
以上のように、さまざまな権限を有しているのが警察官の特徴です。
警察官職務執行法では、逮捕はもちろん、証拠品となる物品の押収や私有地への立ち入りなども許可されています。
警備員にはこれらの権限がありません。
あくまでも民間人ですので、正当な理由なく誰かを逮捕したり、無断で私有地に立ち入ったりすることはできないのです。
万が一これらの行為をした場合は、法律で罰せられてしまう恐れがあります。
警備員と警察官の見分け方
警備員と警察官は、服装をチェックすれば簡単に見分けることが可能です。
季節によって若干異なるものの、警察官の服装は以下のような特徴があります。
- 右腕の上に警察のマーク(またはエンブレム)がある
- トップスは水色または紺色
- ボトムス・スカートが紺色
警察官の服装は、右袖の上部にエンブレムが刻印されています。
そのため、右袖を見れば警察官か警備員か判断することができます。
トップスは水色か紺色、ボトムスなどは紺色で統一されています。
対する警備員は、トップスに薄い水色や白いシャツを着ていることも多々あります。
秋冬など気温が下がる季節には、紺色以外のアウターを着用していることも珍しくありません。
また右袖上部にエンブレムがないなど、警察官と細部が異なる場合も多いです。
警備員ができる仕事・できない仕事
警備員と警察官は間違えやすい職種ですが、警備員にはできる仕事とできない仕事があります。
まず警備員でもできる主な仕事は次の通りです。
- 施設や設備の巡回・警備
- 落とし物の一時保管
- 駐車場などでの交通誘導
- 貴金属類など貴重品の警備
- 要人のボディガード
警備員は以下に当てはまる仕事ができません。
- 不審者の逮捕や職務質問
- 道路などでの交通整理
- 要人警護時の武器の所持
不審者を発見した際の逮捕や職務質問は、警察官のみ行える行為です(私人逮捕除く)。
警備員は交通誘導はできますが、交通整理は行うことができません。
要人警護にあたる際の武器の所持も少々異なります。
警察官は拳銃の所持が可能ですが、警備員は拳銃を所持できません。
一方、警戒棒については重さ・長さが規定の範囲内であれば所持が可能です。
まとめ
警備員と警察官は非常に似通っていますが、所属や役割など異なる点が多数あります。
特に権限が大きく変わるため、間違えてしまわないように注意が必要です。
警察官になるには各種試験への合格が必要ですが、警備員は未経験でも始められます。
人を守る仕事に興味がある方は、警備員を目指してみることをおすすめします。